貧歯目



           貧歯目は、ナマケモノ類、アリクイ類、アルマジロ類の3グループに分類される風変わりな哺乳類である。
           特殊で強固な関節が脊椎の腰のあたりにあるため、腰をひねったり曲げたりできないが、反面、背中の
           下部と臀部が強化される。また、代謝速度がおそく、小さな脳をもち、歯が少ない(アリクイには歯がない)。
           このような特徴をのぞくと、貧歯目の3グループはお互いに身体的類似点を持たない。


     ナマケモノ
 
        食事、睡眠、交尾、出産も樹にぶら下がったままで行う樹上性哺乳類であるナマケモノ類は、
        長い毛と小さく丸い頭、長くて曲がった鉤爪のある長い四肢をもち、非常にゆっくりと動く。
        南・中央アメリカの熱帯林に生息する変温動物である。週にほぼ1回、樹からおりて排泄する。
        起きているほとんどの時間を芽、葉、果物を食べてすごし、満腹時には胃の内容量が体重の
        ほぼ3分の1にもなる。いくつもの部屋にわかれた胃で、食べた葉や毒を中和しながら
        ゆっくりと分解する。完全に消化するには1か月以上かかる。
 
 
     アリクイ
 
        南・中央アメリカの森林・草原地帯にすみ、1日に約3万匹のアリやシロアリを捕食する。
        地上生のオオアリクイ、樹上生のヒメアリクイ、コアリクイは視覚と聴覚が鈍いが、鋭い嗅覚で
        アリやシロアリをみつけ、長い管状の鼻先と長い舌をつかい獲物を捕らえることができる。
        前足には強大な鉤爪を持ち、蟻塚を崩したり、木登りや武器として使う。
 
 
     アルマジロ
 
        南・中央アメリカの熱帯雨林や草原、半砂漠のような気候が穏やかで暖かい場所に生息する。
        アルマジロ類の皮膚は角質化した板がならぶ鎧状なので、捕食者から身を守り、乾燥した
        とげだらけの植生の中でも食物を探すことができる。食物の多くは無脊椎動物だが、
        果物や小型の爬虫類も食べる。睡眠時間は長く、1日18時間も寝て過ごす。
        強力な脚と鋭い鉤爪で、その行動圏内に20もの巣穴を掘って穴の中で生活している。
        敵に襲われると手足を引っ込め、鎧状の硬い皮膚で身を守る。
        ミツオビアルマジロ属の2種だけは、丸まってボール状になることができる。



                                             ★ : 国内動物園(水族館) 飼育動物

 有毛目とする分類もある
亜目 種 ( 動物名 )
ナマケモノ

(2科2属5種)
ミユビナマケモノ ミユビナマケモノ ノドジロミユビナマケモノ
ノドチャミユビナマケモノ
タテガミナマケモノ
フタユビナマケモノ フタユビナマケモノ フタユビナマケモノ
ホフマンナマケモノ
アリクイ

(1科3属4種)
アリクイ オオアリクイ オオアリクイ
コアリクイ キタコアリクイ
ミナミコアリクイ
ヒメアリクイ ヒメアリクイ
       
 被甲目とする分類もある    
亜目 種 ( 動物名 )
アルマジロ

(1科8属20種)
アルマジロ オオアルマジロ オオアルマジロ
ヒメアルマジロ ヒメアルマジロ
チャコアルマジロ
ピチアルマジロ ピチアルマジロ
ケナガアルマジロ ケナガアルマジロ
ペルーケナガアルマジロ
アラゲアルマジロ
スベオアルマジロ スベオアルマジロ
オオスベオアルマジロ
チャコスベオアルマジロ
パナマスベオアルマジロ
ミツオビアルマジロ ミツオビアルマジロ
マタコミツオビアルマジロ
ムツオビアルマジロ ムツオビアルマジロ
ココノオビアルマジロ ココノオビアルマジロ
ヤツオビアルマジロ
ナナツオビアルマジロ
ムクゲアルマジロ
コムクゲアルマジロ
ムリタアルマジロ



                 参考図書 : 日本動物園水族館協会(JAZA動物電子図鑑)


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